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この前、人を拾いました
第38章 ④―8.5 「ずっと前から、お嬢様にお仕えしております」
だけれども、どんなに辛くても、毎日、麗子様のそばにいなくてはいけない。
幸せだと感じていたのは一瞬のこと。
愛する人を、この手に抱くことも許されず、離れることも許されない。
それが、私と麗子様の…
執事とお嬢様の関係なのだ──…
麗子様の許嫁でいらっしゃる西園寺家の次男、礼二様。
容姿端麗、頭脳明晰…それでいて商才まで持ち合わせている。
高貴な家に生まれながらも23歳で自ら起業し、この不景気に難なく成功をおさめているのだ。
非の打ち所のないお方──
このお方ならば、と思ったが、現実はそううまくいかない。
周りから許され、祝福されているのに…。