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この前、人を拾いました
第44章 ⑤―4 倦怠期...?
何とか仲直りさせようと、必死に気のせいだということを伝えようと努力していると、お兄ちゃんは大きなため息をついた。
「俺だってそう思ったっつーの。だけどな、昨日俺、地方の営業部の部長になることになったんだ。栄転だよ。」
「えぇ!?すごいじゃん!!」
だけど、それが華さんと何の関係が?
「はぁ……俺、そうやって華に言われたかったよ…」
またお兄ちゃんは弱々しく息を吐いて、項垂れた。
「え?どゆこと?」
「………実はな、会社から、『申し訳ないけど、家族用の社宅があと一年ほど空かないから、単身寮で赴任してほしい』って言われてな。」
「そ、そんなっ…」
もしかしてそのことで、華さんと…?
「最初は断ろうかと思ったんだ。だって一年もあいつ一人にしとけないだろ?でも、『期待してる』なんて言われたら、男として悪い気がしなかったのも事実なんだ。」
「……じゃあ、お兄ちゃん、単身赴任するの……?で、でもまだ結婚して二年でしょ?!そんなの華さんかわいそうだよ!!」
少し感情が高ぶってしまい、声を荒げてしまった。
まずい、相手がお兄ちゃんだと言うことを忘れてた…っ
後から恐怖で身体が震えたがお兄ちゃんは私を怒鳴り付けるでもなくただ、項垂れているだけだった。