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この前、人を拾いました
第56章 ⑥―6 それでもやっぱり
私もゆっくり微笑み返すと、総一さんは立ち上がって私の方へと近付いて、目の前の机に軽く腰掛けた。
「でも、きっとそんな簡単じゃない。例えみきさんでも、礼二は怒り出すかも知れない。」
総一さんの言葉を聞いて、ふと昨日のレイの怒った顔が浮かんだ。
総一さんの言う通り、そんなに簡単なことじゃないだろう…。
「大丈夫です。レイに誕生日ってこんなに幸せなんだよって、ゆっくり伝えられれば。」
「そうですか。」
そう言って微笑む総一さんの顔には少しだけ不安も交ざっているように感じた。