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この前、人を拾いました
第56章 ⑥―6 それでもやっぱり
「みきさん、礼二先輩の誕生日、祝うんでしょ?」
「え……あ、はい。」
「あなたのことだから、『飾り買わなきゃっ!あとケーキもつくって…!』とか思ってるんでしょ?」
私の声真似のつもりだろうか、やけに鼻につく甲高い声で言うので、内容そっちのけでそんな声じゃないと抗議したくなった。
「……礼二先輩視えるんですよ?」
「あ……」
そっか、
サプライズで色々準備しようとか思ってたけど…
その準備の記憶、全部レイに視られちゃうじゃん!
ぜんっぜんサプライズじゃなくなる!!!!!!
「ど、ど、どうしましょ?!」
「やっぱり気付いてなかったんですね。」
片眉を上げて哀れむ若村さん。
「どっかに泊まって準備するしかないんじゃないですか?今年25日は、平日ですから礼二先輩の帰りも夜になるし、みきさんはちょっと早めに仕事上がれば飾り付けとかは、間に合うでしょう。」
「……頭いいですね…」
感情だけで、すぐに色々決めちゃう私なんかとは正反対だ。
「頭いいって…呑気だなぁ。泊まる場所早く決めなきゃ。今日から泊まらなきゃ、総一様に会っていたのもバレてめんどくさいですよ?」
スマートフォンをいじりながら若村さんが言った。