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この前、人を拾いました
第56章 ⑥―6 それでもやっぱり
とりあえず、これでいいかな。
私は部屋を回って最終確認すると、冷蔵庫をみた。
何個か作りおきしてあるし、餓死はしなそうだから大丈夫ね。
食料も確認し終え、私は大きな鞄を抱えると、百合子先輩のうちへ向かうため、家を出ようと玄関に向かった。
靴を履いてドアノブに手をかけると、勝手にドアノブが下がって突然ドアが開いた。
「ぎゃっ」
やっ、やばい!
びっくりして顔をあげると、そこにはスーツを着て帰ってきたレイの姿があった。
「ゆみちゃん………?」
大きな鞄を抱える私を不思議そうに見つめるレイ。
ハッ!
目を見ちゃダメだ!
若村さんと総一さんといたのがバレちゃう!
私はとっさに視線を下に落とした。
「あっ…えっと…電話…しようと思ったんだけどねっ。しばらく仕事忙しくて帰れそうにないのっ…。だから、ごめんね。」
私はもう明らかに不自然感マックスでレイの横をすり抜けて家を出た。