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この前、人を拾いました
第57章 ⑥―7 26th Birthday
ああ…と言葉を洩らして、レイは目を瞑った。
「………みきちゃん……っ」
「なに……?」
「僕は……っ」
目を開いたレイは、戸惑ったように私を見つめている。
「……祝われていいのかっ…?」
「うん……」
「『おめでとう』ってっ……そう言われても…いいのか…っ…?」
微かに震えるレイの腕を掴む。
「当たり前だよ。だって……レイのお母さんが命懸けで守った命でしょ…?」
「っ………」
レイは目を見開いたあと、グッと唇を噛み締めた。
「逆に感謝して…祝わなくちゃ…」
私がそう言うと、レイはまたスー…っと涙を流した。
そして、私を強く抱き締めて、みきちゃん、みきちゃんと言いながら、子供のようにワンワン泣き出した。
「……愛してるよ、レイ」
それは心から出た言葉。
「お誕生日おめでとう…そして…生まれてきてくれてありがとうっ……」
私はそう伝えて、泣きじゃくるレイの身体を強く抱き締めた。
しばらくそのままの体勢でレイが泣きやむのを待った。