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この前、人を拾いました
第63章 ⑦―4 彼はやっぱり彼な訳で
実をいうと『たまには電車でいこう!』と私が提案したときの、レイの異様なテンションを見たときから少しだけ嫌な予感がしてたのだ。
でも、嫌な予感なんか、レイと暮らしていたら日常茶飯事。
だから特に気にしてなかった。
それがいけなかったのだ。
───数時間前
『レイ、Suica持ってる?』
『んん!?冬なのに電車乗るのにスイカがいるのかっ!!ハハハハハ!』
とレイが笑ったときは、
この人、随分古い在り来たりなギャグをいうな…と冷ややかな目で見るだけだった。
だが、その時私はすぐにピンときた。
レイはちょっと…
いや、相当頭がおかしいけど、“一応”西園寺財閥のご次男様だし…“一応”大手ホテル企業の社長…移動はいつも車。
もしかして、電車あんまり乗ったことないんじゃないだろうか?
じゃあきっと、Suicaなんか持ってないよね…。
そして改札に着くと、レイは
『おろかだっ!ハハハハハ!』
と言って笑い出した。
『うん、そうだね、はい。じゃあレイの切符買うから…って、んん?レイ?』
いつも通り訳の分からないレイの言葉をいなして切符を買おうとするとレイが後退しだした。