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この前、人を拾いました
第86章 ⑨—8 やっとこさ二人
「もう僕から離れないでね」
そう小さく呟いたレイは、再び私のことを抱き締める。
不覚にも、キュンとして、胸が苦しい…
「……うん……レイもね…」
「僕が離れるわけない。僕はみきちゃんがいないと息が出来なくなるんだゾっ…!」
「っ…………」
レイはさらに私を抱き締める力を強める。
彼は、本当、こういうときだけ「みき」っていう。
わざと、やってんのだろうか……
いずれにせよ、かわいいからいいんだけど…。
そして、私は、「あー……緊張した…」とレイが呟いたのを聞き逃さなかった。
「えっ……?」
若村さん、ご名答じゃん…。
てか、本当、そんな風に見えませんでしたけど……。
そう言おうとしたら、レイは、切なげな視線を私に向けた。
ビー玉みたいな綺麗な瞳。
いつも、レイにされた仕打ちを忘れるほど、吸い込まれそうになる。
いつもにも増して変だったのは、レイなりに緊張してたからなのかな…