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この前、人を拾いました
第92章 ⑩—5 彼の言葉の真相は

「……でも…っ今すぐ私も欲しいってわけじゃないし……っ」
自分に言い聞かせるように言うけれど、全然心が追いつかない。
「子どものために、結婚した訳でもないのでっ……だからっ……」
無意識に流れ出た涙。
言っている事に間違いはない…
でも、あの妊娠疑惑の時、もし出来ていても、レイは喜ばなかったんだって思ったら、とても苦しくて、息も出来なくなってしまう。
出来ていないって分かるまで、ほんの少しだけでも母親気分だった私が、何だかとても滑稽だ。
私なんて、妊娠しているかも分からないのに、雑誌まで買っちゃってさっ……
「さきさん…」
ハンカチを差し出した西園寺代表が、まるで幼い子にするかのように私の頭を撫でた。
そのせいで、また涙が溢れ出す。

