この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Beloved
第1章 さだめ
「沙羅、起きなさい!沙羅!」
ママに揺すられて私は目を覚ます。
「あなたどうして窓を開けたまま、寝ていたの?
風邪ひくでしょう。」
窓‥?あぁ…
「え?!窓?!」
私は飛び起きた。
今も脳裏にこびりついて消えないあの声ー‥。
「いつも言ってるじゃない。
気をつけなさいね。
朝ご飯できてるから、降りてらっしゃい」
ママはそう言い残して部屋を出て行った。
私はぼーっと黄色いカーテンで彩られる窓を
見つめた。
幼いながら、あの“声”のことは
誰にも話してはいけないような気がする。
パパにもママにもー‥。
悪い夢でも見たに違いない。
沙羅はそう自分に言い聞かせながら、部屋を後にした。