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飴色トライアングル【完結】
第18章 始まりの合図…
ガタンガタン─

電車に揺られて数時間
懐かしい景色が視界に入ってきた。

電車と平行するように流れる川。
そこは昔から流れが穏やかで夏は格好の遊び場だった。

帰って来たんだね
懐かしいけど…嫌な思い出の場所へ

ここを抜けると駅はもうすぐ─


「美緒、お帰り」
「……ただいま」

駅まで母が迎えに来てくれた。

「全然帰って来ないから心配してたのよ」
うん、ごめん!

「由美がね、この前帰って来て…フフッ」
なに?

「結婚するんだって」
「……」─そうなんだ。
由美も…彼と一緒に暮らしてるって言ってたから

みんな結婚適齢期だもんね
私だけ取り残されちゃったけど

「美緒はどうなの?…」
どうなの?って─

言いたいことはわかるけど…
ごめんねお母さん。
私…結婚は出来そうにないよ。

「…どう、だろうね」
適当に返事を返し窓の外を眺めていた。


前方に大きな商業施設が見えてきた。
ここは─
ヒデと何度も来た場所。

映画を見て…カラオケ行って
楽しい思い出ばかり
──ぁ!?はぁ、また──
昔の事なのにリアルに思い出すから質(たち)が悪い!

どうしていつも思い出すんだろ。
ブンブン─
リセットするつもりで頭を大きく振った。


「美緒、びっくりしないでね?」…なに?
家に着くと、母からそんな言葉を言われた。

どういう事?
……!?誰か来てるの?
玄関を開けるとたくさんの靴やサンダル。
奥からは賑やかな声が聞こえる。

ガチャ
「おぅ美緒、元気だったか?」
どうしたの?みんな揃って
リビングに叔父や叔母がいる。

私の後ろにいた母が囁くように話し掛けてきた。

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