この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飴色トライアングル【完結】
第3章 私、邪魔だよね!
◇◆◇
ヒデはもう帰ったよね?…
正直、由美の顔も見たくないけど
行くところもなくて
結局マンションまで帰って来た。
ヒデがまだいたら嫌だな。
でも、ここは私の家
私がこそこそする事ないんだから…
ふぅ~!
大きく息を吐いて呼吸を整える
よし、入ろう!
ガチャ
あ、良かった開いてた!
中を覗いて靴を確認
由美のパンプスがあって…
ヒデの靴は─
良かったもう帰ったみたい。
バンッ、
「お姉ちゃん」あっ!
その時
気配に気づいた由美が部屋から飛び出してきた。
「……」
「どこ行ってたの?鞄はあるのにお姉ちゃんはいないんだもん」
「何かあったの?」
「……」
何かあったの?──
由美が勝手にヒデを連れてくるからこんなことになったんでしょ…
私の口から言わせたいの?
「ヒデが…ぁ……」
名前を言い掛けて、咄嗟に口をつぐんた。
慣れ親しんだ呼び方でも私がそれを言うわけには…
由美は知らないんだから
ヒデが私の恋人だったなんて…
「英昭…さん、来てたんでしょ?」
「あ、うん、送ってもらったの、お姉ちゃん毎日遅いし─」
「……そぅ、」
私が遅いからってここはホテルじゃないのよ!
喉から出掛かった言葉を呑み込んだ。
もう─いろんな事が面倒になった。
「あの、お姉ちゃん?」
「疲れたから休ませて」
妹の横をすり抜け部屋に入った。
ドアに凭れるとため息が自然と洩れる…
ふぅ~!
体力も気力も、今日は使い果たした。
今は何も考えずに眠りたい!
眠ってる間に嫌な事全てを忘れられたら
こんな苦しい思いをしなくて済むのに!