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飴色トライアングル【完結】
第4章 こんな事…絶対に言えない。
大きく首を振る私に英昭の感情が爆発した。
「じゃなんだよ!理由も言わないで…そんなんで納得出来るわけないだろ!」ビクッ!
泣きじゃくる私を見て、ヒデの口調が激しくなった。
ヒック、「ご、めん…なさい」ヒックヒック
どんなに、責められても…今の私には
他に方法が見つからない!
「…他に、好きな人が出来たの?」
「……違っ」ブンブン
ビデの他に好きな人なんて出来るわけない…
でも、私がハッキリ理由を言わないから
ビデが納得するわけがなかった。
「ハッキリ言えばいいだろ…別れたいって」
違う─別れたいんじゃない!
別れたくないから苦しいのに─
けどホントの事なんて言えないよ。
「……ゥッ、」
私は黙って俯く事しか出来ないでいた。
「そうか、そう言うことか…」
え?
ヒデは自分の中で納得したみたい
寂しそうに呟いた。
「わかったよ」
なにが分かったの?
誤解しないで…私は
「もう、いいよ」
ヒデの悲しそうな声
「違う、考える─時間が…」
「まさか美緒に裏切られるとはな」え?
裏切り?
ヒデの言葉でハッとした。
そっか─私は
ビデを裏切ったんだ!
どんなに言い訳したって、謝ったって
もう取り返しのつかない事なんだ!
「……ヒック、ヒック」
ごめんなさい!
──//
それがヒデとの最後の会話になった。
私は想いを絶ちきるため携帯の番号を変え
東京の大学に進路を変更した。
それからはビデの事は心の奥へ閉じ込め
実家へも帰らず7年
漸く落ち着きを取り戻してきたのに──
ヒデが妹の恋人になって現れるなんて
思いもしなかった!