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飴色トライアングル【完結】
第7章 私…届かない声で助けを求めてたの!
「お姉ちゃん─大丈夫よ、大丈夫、落ち着いて」
なに?どうした…
由美が魘された美緒に声を掛ける。
子供をあやすように髪を優しく撫でてながら…
暫くすると、落ち着いたように美緒はまた寝息を立て始めた。
「……お姉ちゃん、また…」
どうなってる?
「こんな事がよくあるのか?」
コクン
由美が小さく頷いた。
「きっと昔の夢を見てるんだと思う」
昔の夢?…
「彼にフラれた時の夢…」
俺と別れた頃、美緒は今日のように毎日のように魘されてたらしい。
前にもそんな事言ってたな!
美緒に何かがあった!
そんな気がする。
「もしかして──嫌な事、されたのかも」
え?…嫌な事!
なんだよ嫌な事って…
魘された美緒の姿を思い出す!
(─ン、ンン…ヤダ、ヤメテ─)
(ヤダ、オネガイ─ヤメテ……タスケテ…ヒデ)
さっき美緒は俺に助けを求めてた!
(タスケテ…ヒデ)
俺の名前を呼んで、助けてって!
小さな声だったけど、確かにヒデって!
美緒が俺を呼ぶときの愛称
ヒデ─!
もし、由美が言ったように美緒が誰かに何かをされたとしたら─
つじつまが合う!
「ンン…グスッ…ヤメテ─」
「……!?」
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
美緒がまた…
夢を見たのか首を振りながら何かを叫び出す。
「やめてぇ!」ハッ!─
ハァハァ、
大きな声で叫んだ後、美緒が眼を覚ました。
「お姉ちゃん大丈夫?」
由美と俺の顔を交互に見て今の状況を確認しているようだった。
「なんで…グスッ…もうヤだ、グスッグスッ」
そして瞳から
大きな涙の雫がポロポロと零れ落ちた!