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飴色トライアングル【完結】
第8章 俺─ずっと後悔してたんだ
私にそれを着ろって事?!
バンッ「やめてよ!」
振り払った腕がヒデに当たってスウェットが床に落ちた。
「そういう優しさはいらないから」
そうやって誰にでも優しくして…
ヒデのその優しさは、時に人を傷付ける事があるんだよ。
分かってないでしょ!
なんて可愛げのない女。
こんな皮肉しか言えない自分に腹が立つ
けど…今の私には感情をコントロールするなんて無理だよ!
「美緒、風邪引くから服だけ着替えて」
ブンブン
「いいよ風邪引いたって」
「なんでそんな事言うんだよ」
もう、ほっといてほしい!
風邪引いたってヒデのせいだなんて言わないから。
もしあそこで、男達に襲われたって自業自得。
私がそこを通ったのがいけないんだから
恨んだりしないから安心して!
「もう…いいよどうなっても」
「何言ってんだよ、そんな事言うな」
「ヒデには関係ないでしょ」
もう…考える事に疲れた。
1人になりたい。
ヒデに御礼を言って、もう帰ろう。
「─さっき、は…ありがとう」
これ以上由美に隠し事をするのも辛いから
昔の事は無かったことにする!
2人で会うのもこれが最後
もし…偶然どこかで会っても話し掛けないでいいから!
「じゃぁ…さよなら」
ヒデの横をすり抜け玄関へ向かおうとした。
それなのに
突然腕を掴まれ引き寄せられた!
ガシッ……!?
「行くな」
─やめて。
そうやって私の心を弄ばないで。
「─離して」
「離さない」─!?
「今、美緒を離したら…俺、また後悔すると思うから」
何言ってるの?
自分が何を言ってるか分かってる?