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飴色トライアングル【完結】
第8章 俺─ずっと後悔してたんだ
私達…きっと縁がなかったんだよ!
ふと、前に由美が言ってた言葉を思い出した。
「由美が心配してたの…ヒデが昔の恋人をまだ思ってるんじゃないかって─もしそうならその人を早く忘れるように頑張るんだって」
やっぱり恋人には自分の事だけを見てて欲しいんだよ!
ヒデの事を信じて
いつか結婚出来る日を夢見てるの
「だから、私─由美を応援するって言ったの」
辛い恋は私だけで十分だもの
由美を傷つけてまで自分が幸せになろうなんて思わないよ。
「ヒデは由美を幸せにしてあげて」
「…美緒」
私なら大丈夫!
今までだって1人でやってきたんだから
「美緒は…俺が由美と付き合い続けるのを黙って見てられるの?」
「そんなの気にしないで、大丈夫だから…」
私の、精一杯の強がり
許されるなら…私だって!
ヒデの胸に飛び込みたい
けど、由美は大事な妹だもの
ヒデとの将来を夢見てるのに
今更そんな事言えるわけないじゃない。
ヒデの寂しそうな顔
悔しそうに拳を握ってる。
そんなヒデを見るのが辛くて背を向けた。
「もう、帰るね」
「…ミオ」
「大丈夫、タクシー拾うから…」
バタン──
グッ、ウッ─
玄関を出ると、堪えていた涙が一気に溢れてくる
誰にも会いたくなくて涙を拭いながらマンションの影に隠れた。
グッ─ウッウッ、ヒデ─ウッウウ
ヒデ、ごめんねごめんね
泣くのは今日が最後。
明日からは頑張って前を向くんだから
〝俺…ずっと後悔してた〟
〝やり直さないか?〟
〝美緒、好きだよ〟
ヒデの言葉があれば、うん大丈夫
私は……頑張れるよ!