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愛されたいから…
第1章 イルマの出会い
この俺の質問に対して南郷さんはかなり険しい顔をしてから

『そこなんですが、この作者、ストーリーは一流ですし、ネームまでは完璧なんですが、絵がかなり下手で主人公が不細工になるって欠点があるんですよ。』

と言う。更に

『しかも、元々予定だった作画担当は原作者の元恋人という関係でこの作品を完成させる前に別れたから作画はもう無理だとか言い出しましてね。』

と南郷さんがため息をついた。つまり、元々この作品は原作、作画で恋人関係にある別々の2人が描く予定だったのだが、その関係で別れたからもう作画をしないと突然に言われた編集部が慌てて作画を探す羽目になったという状況から俺にお鉢が回って来たという事だ。

はっきり言ってこれは編集部としては最悪の状況だ。何故なら多分先月号辺りでこの作品の新連載の予告を編集部は出しているからだ。俺はこの仕事が少し怖くなり

『一応、聞きますが〆切の状況は?』

と南郷さんに聞いてみた。これを迂闊に引き受けたら3日で15枚とかとんでもない修羅場を俺は押し付けられる事になるかもしれないと思った。だけど怯える俺に南郷さんは

『2週間後の15枚です。1日くらいなら印刷所は押さえてみせます。』

と普通に笑顔で言って来る。その笑顔がとても優しくて暖かい笑顔だったから、またしても南郷さんにドキドキとかしてしまう。

馬鹿みたいに何度も男に対してドキドキしているとか、とにかく南郷さんにこの動悸を絶対にバレたくなくて必死になった。

『2週間…、ギリギリですね。』

南郷さんを出来るだけ見ないようにして答える。キャラ作りからの2週間…。キャラの設定は原作として既に出来ているのだから、後は髪型や顔の雰囲気をネームに合わせて作り出すだけではある。

だからそういう意味では普通のやり方よりは短時間で済む作業ではあるのだが、ざっとネームを見ただけでも登場人物が5人はいる。どうしようかと悩む俺に

『如月 るいは本名?』

と南郷さんが聞いて来た。慌てるように

『如月だけ本名です。本名は如月 イルマ。』

と答えた。南郷さんは何故か独り言のように

『イルマ…、そうなんだ。』

と低く俺の身体に響く声で言った。
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