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愛されたいから…
第11章 南郷の思い
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イルマとの電話を切った後は狂いそうになる自分がわかってしまう。

あいつは自分からは何も言わない。あいつは俺に何も求めない。それはイルマが自分自身ってやつに自信がないからだ。だけど誰かに何かを求められるとあいつはとても嬉しそうな顔をする。

俺が仕事を頼んだ時も俺が飯を頼んだ時も、イルマは自分が必要とされているんだと感じればそれを喜んで引き受ける。

突然、こんな時間にイルマが俺にわざわざ電話をして来るのなら、きっとイルマは何かを俺に求めているに違いない。

イルマは何を求めている?俺にどうして欲しいんだ?

俺がそう思ってはいてもイルマは絶対に俺に対してそれを言わない…、いや、言おうとはしないんだ。初めて俺がキスしてやった時もそうだった。イルマが女とイチャついている最悪のタイミングに俺がイルマの部屋に行ってしまった。

携帯には何度も連絡したのに、イルマが全く携帯には出ないから俺は何かあったのかと気になって仕事帰りにイルマの自宅へと様子を見に行った。なのにリビングでは女の胸を揉んでるイルマに俺は一瞬、呆れてしまっていた。

編集部で初めてイルマに俺が会った時は、頬をピンク色に染めて俺を舐めるようにして見ていたイルマが胸を中途半端に晒した女とイチャついてるとか、俺が変に心配するだけ馬鹿だったなと思った俺はすぐにその場を立ち去ろうとした。

なのに、何故かイルマが必死でそんな俺を追いかけて来て半泣きで俺に言い訳をする。まるで捨てられた女が男にすがるようにその時のイルマは俺を見ていた。

そういうイルマが俺にどうして欲しいのかわからないまま、俺は俺がしたいからとイルマに無理矢理にキスをしていた。お互いに男なんだから、もしもイルマが嫌ならば俺は当然殴られるだろうし、俺が頼んだ仕事も断って来るだろうと俺は思っていた。

それでも、可愛い顔で必死に俺にすがるような目をするイルマが俺は欲しくてキスをした。ふわふわして柔らかい唇に自分の唇を押し当てて、イルマの細い腰を抱いていると、それは男にキスしている感覚じゃなくて俺はそれが止められない自分自身に混乱していた。
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