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愛されたいから…
第11章 南郷の思い
初めて俺が和也を見た時は

なんだ?こいつ…

が俺の和也に対する第一印象だ。女の子みたいに丸い目をクリクリとさせて

『南郷君…、言い難いから龍平でいいや。龍平が俺の面倒みてくれるの?』

と俺よりも小さな身体で子供みたいに俺に抱きついて来て聞いて来る。和也は誰にでも抱きつくという癖がある。和也はいわゆる帰国子女で高校の終わりに日本に帰って来たらしい。

向こうではハグが当たり前の和也は同級生の女の子にも平気で抱きついてはその事が原因で学校からは問題児扱いになっていた。

好きな課題レポートなどは本当に天才的なのだが、テストでは自分が好きな問題しか解かないという我儘な和也。だけど、アメリカの大学をスキップで既に18歳の時には卒業していた和也はとりあえず日本でも大学を出ておく必要があるからと日本の大学にも簡単に入学して来て後輩である俺がその和也の面倒を見る事になってしまった。

図書館では次のテスト勉強をさせても我儘な和也は自分の好きな事しかやろうとしない。和也が嫌いな問題が出て来ると

『これ…、つまんないからやだ!』

と後輩である俺に向かって駄々をこねる。

解けないわけじゃなく、解かないという我儘…。だから俺がわざと

『この問題、俺はよくわからないんだけど?』

と聞いてみると和也は

『あぁ…、これはさぁ…。』

と普通に俺に教えてくれる。つまり、和也は自分がつまらないと感じるとやりたくないモードを貫くというただの駄々っ子だ。

昼休みの休憩時間には何故か和也が俺を中庭に連れて行き、ご満悦の顔で

『龍平の為に、俺、頑張って朝から弁当を作って来たんだぞ。』

と弁当箱を開けて見せて来た。中は真っ黄色で卵焼きしか入っていない弁当だ…。

『これは、弁当とは言わない。』

『弁当だよ!俺が龍平の為だけに愛情込めて作ったんだから、間違いなくこれは弁当なの!』

そんな子供みたいに純粋な和也が突然俺に抱きついてキスをする。和也は帰国子女だから、そういうキスが当たり前なんだろうと思っていた俺に

『龍平は俺がキスしても気持ち悪くない?』

と和也が不安な顔で聞いて来る。可愛くて女の子みたいに目をクリクリさせて、でも少し半泣きの和也に

『挨拶なんでしょ?なら、俺は別に気にしません。』

と俺は言う。
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