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愛されたいから…
第11章 南郷の思い
夜中だというのに和也は俺にいきなり電話をかけて来ては

『今夜は1人で、寂しくて寝れないから、今すぐ龍平が来て…。』

とか

『明日のテストの自信がないから龍平が朝は迎えに来てキスしてよ。』

とか、付き合ってからの和也は何かと我儘な和也だった。だけど純粋で無邪気で可愛いだけの和也に俺はただ甘やかすだけの男だった。

和也の父親はずっとアメリカでかなり大きな会社を経営しているからと和也は裕福な家庭で育った一人息子だった。母親の方は時々和也の様子を見に日本に来たが基本は和也は一人暮らしだった。

俺のうちはその頃、お互いが弁護士だった両親が弁護士だというのに恥ずかしくも離婚調停の裁判中で別居をしていたから両親に放ったらかされて自由気ままな暮らしをしていた俺は和也とばかり一緒にいた。

何事にもストレートに発言する和也はアメリカから来た自分の母親にも

『俺の彼氏、龍平って言うの…、カッコいいでしょ?』

と俺の腕にしがみついて平気で俺との関係を言ってしまう。さすがにアタフタとする俺に和也の母親は

『我儘な子ですが、よろしくね。』

とそんな和也が当たり前のように俺に普通に言って来るような母親だった。俺がそんな和也と母親の様子を見ていたら和也の母親は有り得ないくらいに和也に溺愛をしていて、気まぐれで我儘な和也の一人暮らしをかなり不安に思っているんだという事がわかった。

だから、それが彼氏だろうとなんだろうと1人で日本に居る和也の面倒をまともにみてくれる人間がいるのならば、その方がまだ安心だと和也の母親は判断している感じだった。

天才ゆえに普通の人とは少しズレていて、しかも親からはかなり溺愛されて我儘に育って来た和也は確かに1人にするには何かと不安な男だった。

そして夏休みになり、アメリカには帰りたくないと言いながらも和也がやはり我儘を言って東京は暑いからと軽井沢の別荘を父親の知り合いから借りて貰ったとか言い出した。

だから和也は俺と一ヶ月、その夏はその別荘に2人だけで行く事に勝手に決めていた。
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