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愛されたいから…
第13章 南郷と大地の怒り
だから南郷さん達に背を向けて他人のフリで歩き出した俺の腕を突然南郷さんが掴んで来て

『どこに行く?』

と俺にも南郷さんが怒った顔で聞いて来る。俺は出来るだけ冷静なフリをして笑いながら

『なんか久しぶりのお友達みたいですし、俺は1人で帰りますから。』

と南郷さんに言ってあげていた。だけど南郷さんは

『和也、今の俺はもうお前の知っている人間じゃねぇよ。だから、2度と俺を探すな。』

と男の子を突き放してから俺の腕を強く引っ張ったまま、手をあげてタクシーを止めて俺を無理矢理にタクシーに乗せて俺の家の方に向かって帰っていた。

タクシーの中でかなり不機嫌な南郷さんに俺は

『お友達は…、いいんですか?』

と聞いてみる。完全に怒った顔の南郷さんは

『友達じゃねぇよ。』

とぶっきらぼうに言って来る。つまり、やっぱり南郷さんの恋人だった人なんだ…、そう理解して俺は悲しくなって来る。

だって…、俺はあの人の代わりなんだから…

胸が張り裂けそうなくらいに痛かった。タクシーの中なのに、ずっと俺の手を強く握ったままの南郷さんの手が熱かった。

俺の部屋に着いて、玄関に入るなり南郷さんが無理矢理に俺を壁に押し付けてキスをしながら俺の服を少し強引に脱がせて来る。いつもよりも乱暴で南郷さんが無理矢理に俺を彼の代わりにしようとしていると俺は思うから泣きそうになってしまう。

『やだ…、止めてください…。』

『好きだ…、イルマ。』

そう言って俺の身体を触って来る南郷さんが自分を偽って誤魔化しているように俺は感じていた。

『さっきの人が好きなくせに!』

そう叫んだ俺に南郷さんが固まっていた。俺は南郷さんから離れて

『俺は彼の代わりにはなりたくありません。』

と南郷さんを突き放したように言っていた。南郷さんがすげー辛い顔をして

『お前はお前だ…、イルマ。今の俺が愛していて本気で抱きたいと思うのはお前だけだ。今更、和也には何も感じない。それでも、お前が俺を嫌だと言うなら俺はお前を諦める。』

そう言って南郷さんは俺の部屋から出て行った。

そして1人にされた俺はベッドで散々泣いていた。南郷さんに俺だけが愛されてるなんてコンプレックスだらけの俺には考えられない。
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