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愛されたいから…
第13章 南郷と大地の怒り
俺は絶対にあの人の代わりなんだ…、だから今も南郷さんが本当に愛しているのは、ずっとあの小さな男の子だけなんだ…

それしか考えられずにひたすら俺は泣いていた。

気付くと誰かが俺の額に触れていた。

『南郷さん…?』

そう聞いた俺の目の前には大地が居た。

『何、泣いてんだよ?』

ふてくされたように不機嫌な大地が俺の頭を撫でて聞いて来る。

『何でもない…、何しに来たの?』

ぼんやりとして俺は大地に答えていた。大地は

『今日は収録が予定よりも早く終わったから、たまにはお前と飯でもって思ったんだけど、お前、携帯は繋がらないし、見に来たら泣いてるし、俺の方が何があったのか聞きたいぞ。』

と俺を優しく抱きしめて言ってくれる。

携帯…、映画館で電源を切ってからそのままだ。ただ大地の優しさと温もりが欲しくて俺も大地にしがみつくように抱きついてから

『フラれたんだよ…。』

とだけ俺は言っていた。大地はずっと俺を抱きしめて優しく俺の髪を撫でてくれて

『俺がイルマのそばに居てやるから。何があってもずっと居てやるから、あんな奴の事は忘れろ。』

と言ってくれる。大地がそばに居てくれるのなら俺はきっと大丈夫…、次に南郷さんに会う時はきっと普通に漫画家として笑って仕事の話しだけを出来るはずだ。

なのに俺の身体は南郷さんを求めて疼いている。今は大地の温もりを感じているのに、俺はあの人に今すぐに触れて欲しくて、キスして欲しいと思う自分が俺の中で泣いている。

あんな男の子なんか知らない、見た事もないって笑いながら南郷さんがそう言って俺だけを抱いてくれる事を俺は想像してしまう。

今日、俺が見たものは全て夢だったんだと思いたい往生際の悪い自分がいて、俺はまた涙が出ていた。大地はただ黙って俺を抱いて撫でてくれていた。

俺が少し落ち着いてから、大地と近所のラーメン屋にご飯を食べに行ってから、大地は帰って行った。

俺はずっとぼんやりとしていて、自分が夢の中を彷徨っているように感覚しかなく現実の感覚を失くしていく感じだった。
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