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愛されたいから…
第13章 南郷と大地の怒り
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なんで俺がイルマの友人という奴にイルマと2度と会うなとか言われているんだ?

あの時、俺はちゃんと俺の気持ちをイルマに伝えたつもりだった。なのにイルマは俺に会いたくないとか言っているとか…

和也が突然、俺の前に現れたのにはさすがに俺だって驚いた。しかも全くあの頃と変わっていない和也…。いや、むしろ病的なくらいに一つのものへの執着が酷くなっていると俺は和也に感じていた。

あの頃よりも、和也は一層、痩せていてまるで狂ったように俺に執着していた。あれから和也に一体何があったんだ?

いや、それよりもイルマは一体何を考えているんだ?俺は一体イルマにどうしてやればいいんだよ…

頭が混乱してしまう。和也に対しては本当に俺は割り切っていた。そう、今考えるとあの頃の俺は和也を愛していなかったんだとすら思えて来る。

和也の執着の激しさにあの時の俺は引きずり込まれただけで、実際、アメリカの和也の家の連絡先を俺はちゃんと知っていた。だが、俺は和也を日本に連れ戻そうとか、アメリカに和也を追いかけようとか全く思わなかったのだ。

ただ、和也に振り回された自分の苛立ちを仕事にぶつけていただけの俺は和也を本当に愛しているとはとてもいえない立場だった。しかし、イルマは違う。

今の仕事を失ったとしても、アイツがどこかに行ったとしてもイルマに対してならば俺は狂ったようにイルマを探してしまうだろう。今の俺はイルマだけは失いたくないんだ。

その事を考えると仕事が手につかない俺は

『悪いが今日は1日席を外す。』

と副編集長に言って会社を出ていた。まずは自分の家に帰ってから昔の手帳を引っ張り出し、俺は国際電話をかけていた。

『Hello?』

少し穏やかな声の女性が出た。

『I'm Nango.Are you shooji?』

と俺が確認をすると女性が

『南郷さん?』

と日本語で俺を確認して来た。和也の母親だ。俺は

『ご無沙汰しております。何故、和也が日本に?』

と言っていた。母親は

『ごめんなさい…、本当にごめんなさい…。』

と電話の向こうで泣いているようだった。俺は落ち着いて

『何があったのか教えて下さい。』

と母親に言っていた。
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