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愛されたいから…
第13章 南郷と大地の怒り
あれから5年以上は経っている。アメリカで和也に何があったのか?まずは俺はその確認の為に電話をしていた。和也の母親は

『あの子が一つのものに執着すると周りが見えなくなるのは、南郷さんはご存知よね?』

と切羽詰まった声で俺に言って来た。

『ええ…。』

と俺は返事を返していた。あの頃の和也の執着は間違いなく俺だった。母親は

『大学を出て、あの子をアメリカに戻せば、あの子はまた違うものに執着すると私達は甘く考えていたんです。だけど帰って来てからのあの子は眠れずに、今は薬物中毒の状況なんです。』

と再び泣き始めていた。

和也の執着心は薬の影響で更に加速し両親の手に負えない状況にまで進んでしまったのだった。とにかく薬物だけでも止めさせなければと判断した両親は再び日本に和也を行かせる事にしたらしい。

俺は和也が滞在しているホテルの名前と部屋を母親から聞いてから、ひたすら俺に謝り続ける母親に

『和也と話しをしてアメリカに帰らせます。』

とだけ俺は冷たく言っていた。今更、和也をどうにかしてくれと俺に押し付けられても迷惑だとしか俺には感じなかった。

電話を切って、今度は家を出て俺はイルマの家に向かっていた。

イルマは自分のベッドで目を腫らして眠っていた。俺がイルマの額にキスするとイルマが寝ぼけたように目を開けてから

『南郷さん!?』

と叫び一気に俺から逃げようとしやがった。俺はいつものように裸で寝ていたイルマに

『お前のお友達がわざわざ俺のところに来てこの俺に2度とイルマに近づくなと言って来たが、お前はそのお友達に抱かれて悦んでたって訳か?』

とわざと嫌味を言ってやる。イルマは俺の嫌味に真っ赤な顔をしてから

『大地はそんな事しない!気持ち悪い!』

と叫び出す。俺はイルマに

『なら俺も気持ち悪いか?』

と聞いてイルマの頬にキスしてやる。赤い顔のままで俯いたイルマが

『南郷さんは、あの人が居るじゃん…。』

と拗ねたように言って来ていた。

やはりイルマは和也の事を勘違いしていると俺は感じていた。
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