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愛されたいから…
第14章 イルマの初体験
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翌朝、俺が目を覚ますと南郷さんはもういなかった。今日はまだ平日だから南郷さんは普通に仕事の日だ。

寝かされていたベッドから起き上がろうとした俺の尻には有り得ないほどの激痛が走り俺は足腰がガクガクと震えていた。

夕べ、南郷さんは全く動く事もなく、ただ俺にキスを繰り返すだけだったのに…、南郷さんを俺が受け入れるという事はこんなに辛くて大変なのか!?

その痛みで俺はまた南郷さんのベッドにヘタリ込み

『ふにゃぁ…。』

と情けない声をあげていた。あの人はこんなにも辛い事を経験して、それでも南郷さんに向かってまだ抱いてくれと叫んでいた…。

南郷さんはあの人を全く愛してはいないと言っていたけれど…、あの人の南郷さんに対する激しい愛が俺は怖かった。南郷さんがあの人の前で俺にどうして欲しいか聞いた時、自分がズルいのはわかっていて俺は南郷さんの名前を呼んでいた。

俺が南郷さんの名前を呼べば、俺の我儘に必ず南郷さんが答えてくれると俺はあの時確信をしていた。そして本当に俺がイキそうなくらいの激しいキスを南郷さんが俺にしてくれるから俺はあの人に

南郷さんは俺のものだ…

と見せつけていた。

絶対に取られたくなかった。あの人のあの激しい愛にだけは絶対に負けたくなかった。だから俺はズルいやり方で俺に南郷さんを繋ぎ止めていた。

だってそれが俺と南郷さんとの2人の約束だったからだ。その約束が俺の唯一の切り札だった。

南郷さんは約束をした以上、俺への愛情に重ねて責任も感じると俺にはわかっていた。あの人の激しい愛に俺が勝つにはそれしかなかった。

真っ直ぐな愛を南郷さんに向ける事が出来るあの人が俺は羨ましかった。俺の存在を感じないほど南郷さんだけを愛しているんだと平気で俺に見せつけて来るあの人が憎かった。

だけど南郷さんだけは俺は譲れない。俺が手に入れた俺だけの初めての愛だから、南郷さんはもう俺の一部だから、南郷さんが居れば俺はコンプレックスも何も感じず、南郷さんの腕の中で幸せだけを感じる事が出来るから…。
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