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愛されたいから…
第14章 イルマの初体験
そしてその南郷さんが俺を本気で抱きたいんだと俺に望んでいたから…

俺はただ南郷さんに全てを委ねていた。それは頭が真っ白になるくらいの激痛だった。

でも俺の頭の中ではあの人は南郷さんにこうやって当たり前のように抱かれていたんだとばかり考えてしまうから俺はその激痛にひたすら我慢をしていた。

この苦痛にもしも俺が逃げ出したら、俺はあの人の激しい愛に負けるとばかり考えていた。

『でも、この痛さ…、全然勝った気分にならねぇよ。』

俺は半泣きで無理矢理に立ち上がり、まだ続く激痛の中でトランクスを履く。かろうじて着替えてから壁つたいにリビングに行くとメモとお金が置いてあった。

帰るならタクシーを使え

と書いてあったメモに俺は少し笑ってしまった。そのメモの裏に

愛してる

とだけ書いた俺は南郷さんの部屋を出ていた。もう昼過ぎなのに、太陽が黄色く見えるとか、俺は不規則な生活をする漫画家だから、今までに何度か経験した太陽の色だけど、今日ほど目が痛くなる黄色はさすがに初めての経験だった。

なんとかタクシーを拾ったけれど、俺はまともに座れずに運転手さんに

『少し横になりますけど、大丈夫ですから。』

と言って後ろの座席のシートで横になっていた。運転手さんは具合が悪いなら病院に行こうかと心配をして俺に聞いてくれたけど、男に抱かれて辛いんですとは俺は説明が出来ずに

『軽い貧血で、いつもの事なんです。』

と少し笑って誤魔化していた。

自分の家に這うようにして辿り着き、一気に全裸になって俺はベッドに潜り込んでいた。

夕方にはようやく俺から身体中の痛みが引いて、少しは動けるようになってから俺は改めて大地に電話を入れていた。大地の携帯はいつものように留守電だったから俺はその留守電に

『ちょっと話しがあるから連絡欲しいんだ。』

とだけ吹き込んでから電話を切っていた。大地とはちゃんと話しをしなければ…、と俺は思っていた。別に俺は大地に怒っているとかじゃなく、俺に過保護な大地だから南郷さんにはいつもの過激な反応をしているだけなんだと俺は思っていた。
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