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愛されたいから…
第2章 イルマの思い

南郷さんとは初めての仕事だから俺が下書きを何ページか描いてその仕事の進行状況を南郷さんに見て貰う為だ。南郷さんは
『来週辺りに、こちらからそちらへ寄らせていただきます。』
と俺に言って来る。南郷さんがうちに来てくれる。普通は編集長自らが進行を見に来るとか滅多にない話だが、今の俺の担当だから来てくれる。
子供みたいに俺ははしゃいで
『来る時にまた連絡下さい。』
と言って電話を切っていた。
やばい…、本来の仕事より、こっちの仕事を優先したくなって来る。
そうやって南郷さんの顔とあの声を俺は想像してしまう。だけど…。
ダメだ…、浮かれている場合じゃない。真面目に仕事しないと南郷さんに変な奴どころか、俺は役立たずの最低な漫画家だと思われてしまう。
そう考え直してから、とにかく俺は仕事部屋に行き机の前に座ってから用意した真っ白な原稿にまずは簡単な線を入れていく。コマ割りを線で大体の区切りを付けたら人物の大まかな形を入れていく。
セリフが入る吹き出し、主人公のアップや全身、横顔など丸や線だけで全てを適当に決めてしまう。とりあえずは3ページ分くらいをそんな風に決めてから主人公の顔や髪型をもう少しだけ丁寧に描き込んでいく。
そんな作業を3ページずつ、合計15ページ分、南郷さんから預かったネームに合わせて作品を俺は作り上げていく。
藤森先生のネームには既に何箇所か修正を指示する赤ペンが入っている。赤ペンの部分は南郷さんが編集した指示だった。
割と雑な指示がしてあるけれど南郷さんの字が意外と綺麗なのに俺は驚いた。少女漫画で俺の担当の坂口さんは字が汚い。だから坂口さんの指示が出たら俺は坂口さんの字の横に結局自分で指示を書き加える。
そうしないと汚い字の坂口さんの指示は後からわからなくなってしまうからだ。南郷さんの字は綺麗でちゃんと読める字だ。
うちの親父は字が汚い。お袋が親父の仕事の修羅場にアシストすると親父の汚い字の指示が読めないと発狂するから、そんなお袋の姿が俺は嫌いで俺自身は字を丁寧に書くという癖がついてしまった。
どうにかこの仕事の15ページ分の大まかな下書きが終わる頃には、時刻はすっかり深夜になっていた。下書きをしていて何箇所か困ったのは主人公が憧れの先輩に興奮して欲情するアップのシーンなどだった。
『来週辺りに、こちらからそちらへ寄らせていただきます。』
と俺に言って来る。南郷さんがうちに来てくれる。普通は編集長自らが進行を見に来るとか滅多にない話だが、今の俺の担当だから来てくれる。
子供みたいに俺ははしゃいで
『来る時にまた連絡下さい。』
と言って電話を切っていた。
やばい…、本来の仕事より、こっちの仕事を優先したくなって来る。
そうやって南郷さんの顔とあの声を俺は想像してしまう。だけど…。
ダメだ…、浮かれている場合じゃない。真面目に仕事しないと南郷さんに変な奴どころか、俺は役立たずの最低な漫画家だと思われてしまう。
そう考え直してから、とにかく俺は仕事部屋に行き机の前に座ってから用意した真っ白な原稿にまずは簡単な線を入れていく。コマ割りを線で大体の区切りを付けたら人物の大まかな形を入れていく。
セリフが入る吹き出し、主人公のアップや全身、横顔など丸や線だけで全てを適当に決めてしまう。とりあえずは3ページ分くらいをそんな風に決めてから主人公の顔や髪型をもう少しだけ丁寧に描き込んでいく。
そんな作業を3ページずつ、合計15ページ分、南郷さんから預かったネームに合わせて作品を俺は作り上げていく。
藤森先生のネームには既に何箇所か修正を指示する赤ペンが入っている。赤ペンの部分は南郷さんが編集した指示だった。
割と雑な指示がしてあるけれど南郷さんの字が意外と綺麗なのに俺は驚いた。少女漫画で俺の担当の坂口さんは字が汚い。だから坂口さんの指示が出たら俺は坂口さんの字の横に結局自分で指示を書き加える。
そうしないと汚い字の坂口さんの指示は後からわからなくなってしまうからだ。南郷さんの字は綺麗でちゃんと読める字だ。
うちの親父は字が汚い。お袋が親父の仕事の修羅場にアシストすると親父の汚い字の指示が読めないと発狂するから、そんなお袋の姿が俺は嫌いで俺自身は字を丁寧に書くという癖がついてしまった。
どうにかこの仕事の15ページ分の大まかな下書きが終わる頃には、時刻はすっかり深夜になっていた。下書きをしていて何箇所か困ったのは主人公が憧れの先輩に興奮して欲情するアップのシーンなどだった。

