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愛されたいから…
第18章 イルマの両親
当然だけど有名大先生と編集長…、立場上、南郷さんは慌てて

『聖月先生、いつもお世話になっています。如月先生にも何かとお世話になっております。』

と言って礼儀正しく大先生である親父に頭を下げる。なのに親父は

『ガンマの編集長さん…?』

としか言わず俺の背後霊を続けている。親父は少し変わっている。漫画家としては天才的で大先生という立場だが、人間関係の付き合いなどは親父は自分が興味のない人には見向きもしない時がある。

俺がそんな親父に

『母さんは?』

と聞くと子供のように拗ねて親父は

『トイレ…。』

とだけ答えて来る。つまり、自分の最愛の妻がこの場から居なくなってしまい、その息子の俺を発見したから今は俺にベッタリな訳だ。だから呆れて親父に文句を言おうと俺がした時、親父が突然

『悪いけど…、イルマは明日の2時にこの編集長さんとうちにおいで…。』

と低く重い声で俺に言って来る。俺は驚き

『なんで!?』

と聞くと親父は

『話しがあるからに決まってる。』

と言い切っていた。こういう言い方をする時は親父にはこれ以上は俺が何を言っても通じないのはわかってはいるのだけど、一応、俺は親父に向かって

『だから、何の話し?南郷さんにだって都合てものがある事くらいわかってるだろ?』

と聞いてみる。だけど親父はひたすら無言のままで南郷さんを眺めながらとにかく俺の背後霊を止める事もなく気まづい状況が続く中、やっとトイレから戻って来たお袋が

『あら?イッちゃん。パパに遊んで貰ってるの?良かったわねぇ。』

と背後に親父をぶら下げたままの俺の頬に平気でお袋がいつものキスをして来ていた。

どこの世界に24歳にもなって父親に遊んで貰っている息子がいるんだよ…

俺はそうお袋に言いたいけれど、この場で俺がお袋にそれを言うとお袋命の親父がここでキレて暴れ出すのが俺には目に見えている。

お袋にとっては俺はいつまでも小さなイッちゃんのままで、親父はそんなお袋が望む事は全て叶えるという主義だからだ。

つまり、俺はこの親に対して反抗期などは絶対に許されず、ひたすらイチャラブ夫婦に溺愛されて育った七光り息子って訳だ。
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