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愛されたいから…
第18章 イルマの両親
お袋が来た途端、やっと親父は俺の背後から離れてお袋をエスコートするように再びスポットライトのど真ん中へと無言のままで俺の前から立ち去っていた。
俺はこんな両親に恥ずかしくなり慌てて南郷さんに
『すみません…。』
と頭を下げると南郷さんは落ち着いた声で
『大丈夫だ。今は暇な時期だし、編集が大先生に呼ばれたら行かないわけにはいかないからな。』
と言ってくれた。
その後は、南郷さんも他の先生方への挨拶とかで忙しくしていたから俺はこのパーティーの終了間際にはパーティー会場を出て早めに家に帰っていた。
家に帰ってから俺は色々と考えていた。俺は当然あの親父にもコンプレックスを抱いている。親父を知らない人からは時々俺は天才とか言われるが本物の天才とは間違いなくあの親父だからだ。
僅か18歳で漫画家としてデビューを果たしていた親父はいきなりのヒット作でアニメ化を実現し、多い時は週刊、月刊ともに3本の連載を描き、この業界では常にトップクラスの大先生をやって来た人だ。
だからお袋と結婚する時も、強気でプロポーズをして結婚してしまっていた親父だったし、今は仕事をお袋と居る時間を作る為にと減らしてはいるが、親父の仕事部屋の本棚には未発表のネームがまだ50本以上あるのを俺は知っている。
引き篭もりがちな俺の自立を心配したお袋が俺の一人暮らしを認めてくれた時も、俺はそんな親父からポンッと高級マンションを買い与えられて親父の著作権の一部を譲渡されるというまさに悠々自適な俺の自立を全く感じないやり方での独立だった。
それだけ、親父はお袋と俺を溺愛している。天才である親父のこだわりは漫画と家族とカレーだけ…。それ以外には全く興味を持たず、お袋が居なければ未だに携帯のメールすら自分では出来ないという親父だ。
その親父が話しがあると自分から言い出した時はろくな事がない…
昔、俺が大学卒業の年にも親父から俺にこの先の就職について話しがあると言われた時も、ほぼ一方的に親父が
『イッちゃん、今度デビューするからね。』
と言い切って、俺が暇つぶしに描いた漫画を俺が知らないうちに出版社に持ち込まれていて勝手に俺のデビューの話しが進んでいた。
俺はこんな両親に恥ずかしくなり慌てて南郷さんに
『すみません…。』
と頭を下げると南郷さんは落ち着いた声で
『大丈夫だ。今は暇な時期だし、編集が大先生に呼ばれたら行かないわけにはいかないからな。』
と言ってくれた。
その後は、南郷さんも他の先生方への挨拶とかで忙しくしていたから俺はこのパーティーの終了間際にはパーティー会場を出て早めに家に帰っていた。
家に帰ってから俺は色々と考えていた。俺は当然あの親父にもコンプレックスを抱いている。親父を知らない人からは時々俺は天才とか言われるが本物の天才とは間違いなくあの親父だからだ。
僅か18歳で漫画家としてデビューを果たしていた親父はいきなりのヒット作でアニメ化を実現し、多い時は週刊、月刊ともに3本の連載を描き、この業界では常にトップクラスの大先生をやって来た人だ。
だからお袋と結婚する時も、強気でプロポーズをして結婚してしまっていた親父だったし、今は仕事をお袋と居る時間を作る為にと減らしてはいるが、親父の仕事部屋の本棚には未発表のネームがまだ50本以上あるのを俺は知っている。
引き篭もりがちな俺の自立を心配したお袋が俺の一人暮らしを認めてくれた時も、俺はそんな親父からポンッと高級マンションを買い与えられて親父の著作権の一部を譲渡されるというまさに悠々自適な俺の自立を全く感じないやり方での独立だった。
それだけ、親父はお袋と俺を溺愛している。天才である親父のこだわりは漫画と家族とカレーだけ…。それ以外には全く興味を持たず、お袋が居なければ未だに携帯のメールすら自分では出来ないという親父だ。
その親父が話しがあると自分から言い出した時はろくな事がない…
昔、俺が大学卒業の年にも親父から俺にこの先の就職について話しがあると言われた時も、ほぼ一方的に親父が
『イッちゃん、今度デビューするからね。』
と言い切って、俺が暇つぶしに描いた漫画を俺が知らないうちに出版社に持ち込まれていて勝手に俺のデビューの話しが進んでいた。