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愛されたいから…
第2章 イルマの思い

南郷さんは変な俺に気を使ってくれているのか穏やかな笑顔のまま
『編集に気遣いは不要です。でも先生が飲みたいなら俺が入れますよ。』
と言って来ていた。それは俺もわかっている。編集部の人は俺を先生と呼び、俺が原稿を仕上げるまではまるで召使いのように気を使って接してくれる。
それでも俺は逆に南郷さんに気を使ってしまう。俺の憧れの人だから…、俺はこの人みたいな男になりたいから…
自分のそんな気持ちを知られないように俺は仕事部屋へと南郷さんを案内していた。案内してから俺は南郷さんに
『ここの鍵、渡しましょうか?』
と聞いてみた。漫画家が担当編集さんに家の鍵を渡すのはよくある事だ。少女漫画担当の坂口さんにもそういう事に慣れている俺は鍵を渡してある。でも南郷さんは
『でも、先生の場合、自宅を兼ねてますよね?』
と少し遠慮気味に聞いて来る。俺は普通に
『慣れてますから平気です。』
とだけ答えていた。俺は親が漫画家だから、他人が家に勝手に出入りするのには俺は全然慣れきっている。だからこの家のスペアキーを南郷さんに渡してから、俺はとりあえず出来ている分だけの原稿を見て貰っていた。
真剣な顔で原稿を確認しながら南郷さんは
『今のところ問題はないようですが、何か希望とかありますか?』
と俺に聞いて来た。例の欲情する顔とかがわからない俺は
『問題っていうか、わからない部分を今からやるんですよ。』
と少し情けなく言ってしまう。南郷さんは
『わからない部分?』
とメガネを外しながら目を細めて俺に問いかけて来ていた。鋭く真っ直ぐに俺を見つめている南郷さんの目線に俺は、この目がやばい…、とかドキドキしながら考えてしまっていた。南郷さんの視線から俺は目を逸らしながら南郷さんに
『人を見つめて欲情する顔とか、俺は見た経験がないんです。』
と少し笑って誤魔化すように言ってみた。南郷さんは
『確かに、人が欲情した顔なんて普通は滅多に見れるもんじゃないな。』
と言うとゆっくりと移動して俺の前に立って来た。
南郷さんとの距離が近い…、小さな俺には南郷さんの胸しか見えないし…
やばいくらいの自分の動悸に俺は目眩までしそうになって来る。
『イルマ…。』
俺の頭の真上で南郷さんが低く響くあの声で俺の名前を呟いた。
『編集に気遣いは不要です。でも先生が飲みたいなら俺が入れますよ。』
と言って来ていた。それは俺もわかっている。編集部の人は俺を先生と呼び、俺が原稿を仕上げるまではまるで召使いのように気を使って接してくれる。
それでも俺は逆に南郷さんに気を使ってしまう。俺の憧れの人だから…、俺はこの人みたいな男になりたいから…
自分のそんな気持ちを知られないように俺は仕事部屋へと南郷さんを案内していた。案内してから俺は南郷さんに
『ここの鍵、渡しましょうか?』
と聞いてみた。漫画家が担当編集さんに家の鍵を渡すのはよくある事だ。少女漫画担当の坂口さんにもそういう事に慣れている俺は鍵を渡してある。でも南郷さんは
『でも、先生の場合、自宅を兼ねてますよね?』
と少し遠慮気味に聞いて来る。俺は普通に
『慣れてますから平気です。』
とだけ答えていた。俺は親が漫画家だから、他人が家に勝手に出入りするのには俺は全然慣れきっている。だからこの家のスペアキーを南郷さんに渡してから、俺はとりあえず出来ている分だけの原稿を見て貰っていた。
真剣な顔で原稿を確認しながら南郷さんは
『今のところ問題はないようですが、何か希望とかありますか?』
と俺に聞いて来た。例の欲情する顔とかがわからない俺は
『問題っていうか、わからない部分を今からやるんですよ。』
と少し情けなく言ってしまう。南郷さんは
『わからない部分?』
とメガネを外しながら目を細めて俺に問いかけて来ていた。鋭く真っ直ぐに俺を見つめている南郷さんの目線に俺は、この目がやばい…、とかドキドキしながら考えてしまっていた。南郷さんの視線から俺は目を逸らしながら南郷さんに
『人を見つめて欲情する顔とか、俺は見た経験がないんです。』
と少し笑って誤魔化すように言ってみた。南郷さんは
『確かに、人が欲情した顔なんて普通は滅多に見れるもんじゃないな。』
と言うとゆっくりと移動して俺の前に立って来た。
南郷さんとの距離が近い…、小さな俺には南郷さんの胸しか見えないし…
やばいくらいの自分の動悸に俺は目眩までしそうになって来る。
『イルマ…。』
俺の頭の真上で南郷さんが低く響くあの声で俺の名前を呟いた。

