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愛されたいから…
第4章 南郷の告白
南郷さんはクスッと笑ってから

『俺を酔わせたいの?』

と俺が居たカウンターキッチンの端に立って冗談っぽく俺に聞いて来ていた。またしても南郷さんの言葉にアタフタになり落ち着きを失くした俺は

『別に…、そのっ…、酔わせたいとか…。』

と緊張して上手く言葉が出て来ない。そんな情けない姿ばかりを南郷さんに見せる俺の後ろに南郷さんが立ってから俺の耳元で

『イルマには充分酔ってるから、ビールを貰うよ。』

と言って来た。

だから、その声を耳元で聞かせるとか反則だよ!

そう叫びたい自分を押さえて俺は南郷さんから逃げるようにして冷蔵庫の前に行き、冷えたビールを南郷さんに渡してから

『テーブルで待ってて下さい。』

と俯いたまま言うのだけで必死だった。だから南郷さんは大人しくテーブルに座って俺が食事を出すのを待ってくれた。テーブルを挟んで座ってから俺と南郷さんの初めての食事が始まっていた。南郷さんは

『夕べの彼女は恋人じゃないのか?』

と俺に聞いて来る。誤解をされたくないと思っていた俺は落ち着いて

『リッちゃんとは家が隣同士で母親同士が友達で、生まれたのも俺が1ヶ月早いってだけの幼なじみなんです。だから恋愛感情とか全くないですよ。』

と南郷さんにきちんと説明をしていた。

南郷さんはメガネを外してからメガネをテーブルに置くと俺に

『じゃあ、今付き合ってる人とかは?』

と質問何故か責めだった。

俺が南郷さんの事を知りたいのに…

そう思いながらも俺は

『こんな俺なんかと付き合ってくれる人なんかいませんよ。』

と自分のコンプレックスを冗談っぽく言っていた。

『そんな事ないだろ?』

と言った南郷さんが鋭い目で俺だけを真っ直ぐに見ていた。この人のこの目に見られているだけで俺はドキドキしてしまう。

やばい…、本気で俺はやばい…

焦る気持ちを押さえて俺は南郷さんに

『南郷さんならモテるから、当然、恋人とかいるんですよね?』

と作り笑いをしながら聞いてみる。南郷さんは少し照れたように

『恋人はいない。好きな人ならいるけどな。』

と低く、だけど俺の身体に響く声で俺にそう言っていた。好きな人か…、南郷さんが好きならすげー美人とかか?そう思う俺は何故か寂しくなって南郷さんが好きだという人を羨ましいとか考えてしまう。
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