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愛されたいから…
第4章 南郷の告白
このやたらとテンションが高い目立つ3分クッキングのテーマが着信の奴は1人だけだ。戸田 大地…、俺の親友でリッちゃんと同じ俺の幼なじみ。大地は小学校の時に俺のクラスに転入して来た奴だ。

たまたま俺の隣の席だったから自然と俺が大地の初めての友達になっていた。それからはリッちゃんと共に俺とはずっとの付き合いだ。

俺は南郷さんに

『友達からの電話なんです。』

と少し言い訳をして電話に出ていた。電話の向こうでは呑気な大地が俺に

『イッちゃん、今、話せるか?』

とリッちゃんの真似してからかうように俺をわざとイッちゃんと大地が呼んでいた。俺は不機嫌になって真面目に

『大地、今、ちょっと人と居るんだ。』

と答えていた。大地もやはりリッちゃんと同じで俺の不機嫌なんかには慣れているから普通に

『あぁ…、そうなの?連休の箱根の件だけど、確認しようと思ってさ、電話したんだけどな。』

と言って来る。大地は今はテレビのカメラマンという仕事をしているから滅多に休みが取れない奴だ。だから、久しぶりに大地が休みを取れる今度の連休には俺と2人で箱根の温泉に行こうと約束をしていた。

『今、〆切があるけど、連休前には終わるから箱根は大丈夫だよ。』

と大地に俺は俺の状況を説明する。大地は

『じゃあ、旅館とか俺に任せていいんだな?』

と言って来ていた。テレビの仕事で良い旅館を知っている大地に元々俺は全てを任せる予定だったから

『大地に全部任せるよ。だから連休前にまた連絡だけくれよな。』

と言ってやる。大地は

『わかった、またな。』

と言ってすぐに電話を切っていた。電話を済ませた俺が南郷さんを見た時にはもう南郷さんが帰ろうとしている姿だった。

やばい…、もしかして怒らせた?

いきなりムードぶち壊しで電話をしていた俺は自分を責めたくなっていた。

『帰るんですか?』

と聞いた俺に南郷さんが

『明日もまだ仕事がありますから。』

と編集長の顔で答えて来る。そんな南郷さんの言葉を聞いて泣きそうになる俺に南郷さんが

『連休は箱根ですか?』

と聞いて来た。さっきの電話の事だ…、と思った俺はまた慌てて

『コイツも俺の幼なじみの男で滅多に休みが取れない奴だから、今度の連休に休みを取れるらしくて、前から行こうと約束をしてたんです。』

と南郷さんに言い訳をしてしまっていた。
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