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愛されたいから…
第1章 イルマの出会い
この流れは漫画家を目指す一部の人間からは、やはり羨ましいの一言になるのだろうが、俺は俺でそこで更なる問題を抱え新しいコンプレックスを追加する事になってしまった。

何故なら俺は読み切りしか描けないという事実が発覚したからだ。この2年、俺は俺なりに一度だけ連載にも挑戦はした…、だが、描けば描くほどに作品の主人公のキャラ崩壊が酷くなっていき、結局5話を過ぎる頃にはその作品は打ち切りになった。

キラキラなストーリーを継続させる事が出来ない…、これがこの仕事での今俺が抱えている最大のコンプレックス。そしてそれは有名漫画家である親父やお袋に言わせれば

『最初のキャラ設定が甘いからそうなっちゃうのよ。キャラの人格が破綻するとか、そんな作品が続けられるわけないでしょ。』

との事らしい。そもそもろくに恋愛経験がない俺がキラキラの恋愛モノを描こうとしても無理があるという事だ。

恋愛が始まる前の恋愛に対する憧れの段階なら俺が描く作品はそれなりにファンに共感を受けてそれなりに人気は上がってくれる。

だが、問題はその先だ。無事に恋愛を成就して達成した後がわからない俺にはひたすらキャラ崩壊への道に進んでいくしか出来ないという情けないだけの作者になってしまう。

だから仕事とはいえ、この1年、読み切りしか描いていない。そんな俺に業を煮やした編集部が今日の打ち合わせで何とか次の連載に持ち込めるようなネームを作って来いと言っているのが現状だった。

俺だって、この先は連載が出来ないような漫画家は致命的なんだって事くらいはちゃんと理解はしている。

それでも編集部の坂口さんのため息に合わせるように俺もため息をついた。その瞬間、俺が居た編集部の打ち合わせの小部屋の向こうから凄まじい怒鳴り声が響いて来た。

『だから、誰でもいいんだよ。いや、誰でもではないが、とにかく絵が綺麗な奴なら新人でもなんでも構わん!こっちに回せそうな先生を探してくれ!』

と叫ぶ声、ソプラノボイスの俺とは違い、身体の芯に響くようなバリトンボイス。コンプレックスの塊である俺に言わせれば羨ましいとはまさにこの事だ。
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