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愛されたいから…
第5章 律子の思い
私は女だけれども、イッちゃんは私を妹みたいにしか見てくれない。しかも、大学の時に馬鹿な女がイッちゃんを傷つけてしまったからイッちゃんは女は怖い生き物なんだとか思ってしまっていた。
『とりあえず、俺ん家で待ってろ。俺、今日まで仕事なんだよ。夜には帰る。』
と私に大地が言う。大地の家の鍵は私もイッちゃんも持っている。だけど古くて安いアパートの大地の家はイッちゃんの家とは違って汚くて男臭い。
散らかすのが嫌いなイッちゃんの為に大地なりには片付けているけれど、綺麗好きのイッちゃんとは違ってどこか汚いと私は感じてしまう。
それでも、そんなイッちゃんのせいにして私は汚れたくなってしまう。イッちゃんが私を見てくれないのだからと私は大地に汚されたくなってしまう。だってイッちゃんは女の子に理想を持っているから…、女の子が下品な事したり言ったりしちゃダメってイッちゃんはいつも私に言って来るから…。
でもイッちゃんは絶対に私のものになんかなってくれないんだから、私はそんなイッちゃんに逆らって汚れた女になっていた。
大地のアパートはイッちゃんのマンションから駅を挟んで反対側の町だ。
イッちゃんに何かあれば大地はきっと仕事なんか放り出して駆けつけちゃう。だからイッちゃんの携帯の着信音もわざと大地の分だけ目立つ3分クッキングのテーマに指定させて
『俺の電話には出てくれよ…。俺は仕事が忙しいから連絡とか出来る時間が限られてんだからな。』
と言って大地はイッちゃんを束縛する。優しいイッちゃんは
『大丈夫、大丈夫。大地の為なら俺がいくらでも時間を作ってやるよ。』
って笑顔で大地を甘やかす。イッちゃんはいつもそうだった。私を甘やかして大地も甘やかす。その優しさが本当は残酷なんだって事をイッちゃんは全く気付いていない。
イッちゃんは残酷で、しかも鈍い…。昔、高校生の頃、3人で電車で出かけた時に混雑する電車の中で女の子だからと私を庇って、私をドア側に回したイッちゃんの方が痴漢に合ってしまった。
だけど、その痴漢を大地は首が締まるほどの力で胸ぐらを掴んで持ち上げてから
『イルマに触ったら殺す!』
と凄い怖い顔で脅していた。私はそんな大地が怖かった。大地はまだ高校生なのに本気で怖いくらいにイッちゃんを愛してるって私にはわかったから怖かった。
『とりあえず、俺ん家で待ってろ。俺、今日まで仕事なんだよ。夜には帰る。』
と私に大地が言う。大地の家の鍵は私もイッちゃんも持っている。だけど古くて安いアパートの大地の家はイッちゃんの家とは違って汚くて男臭い。
散らかすのが嫌いなイッちゃんの為に大地なりには片付けているけれど、綺麗好きのイッちゃんとは違ってどこか汚いと私は感じてしまう。
それでも、そんなイッちゃんのせいにして私は汚れたくなってしまう。イッちゃんが私を見てくれないのだからと私は大地に汚されたくなってしまう。だってイッちゃんは女の子に理想を持っているから…、女の子が下品な事したり言ったりしちゃダメってイッちゃんはいつも私に言って来るから…。
でもイッちゃんは絶対に私のものになんかなってくれないんだから、私はそんなイッちゃんに逆らって汚れた女になっていた。
大地のアパートはイッちゃんのマンションから駅を挟んで反対側の町だ。
イッちゃんに何かあれば大地はきっと仕事なんか放り出して駆けつけちゃう。だからイッちゃんの携帯の着信音もわざと大地の分だけ目立つ3分クッキングのテーマに指定させて
『俺の電話には出てくれよ…。俺は仕事が忙しいから連絡とか出来る時間が限られてんだからな。』
と言って大地はイッちゃんを束縛する。優しいイッちゃんは
『大丈夫、大丈夫。大地の為なら俺がいくらでも時間を作ってやるよ。』
って笑顔で大地を甘やかす。イッちゃんはいつもそうだった。私を甘やかして大地も甘やかす。その優しさが本当は残酷なんだって事をイッちゃんは全く気付いていない。
イッちゃんは残酷で、しかも鈍い…。昔、高校生の頃、3人で電車で出かけた時に混雑する電車の中で女の子だからと私を庇って、私をドア側に回したイッちゃんの方が痴漢に合ってしまった。
だけど、その痴漢を大地は首が締まるほどの力で胸ぐらを掴んで持ち上げてから
『イルマに触ったら殺す!』
と凄い怖い顔で脅していた。私はそんな大地が怖かった。大地はまだ高校生なのに本気で怖いくらいにイッちゃんを愛してるって私にはわかったから怖かった。