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愛されたいから…
第6章 大地の思い
まだ早めの時間だったから風呂では運良く他のお客さんが来る前に何枚かの温泉を撮影する事が出来て、俺はご機嫌になっていた。

大地と久しぶりにゆったりと風呂に入り俺達が部屋に戻ると食事の用意も出来ていて、俺はその食事も撮影する。

俺を待ってくれていた大地が

『腹減ったから早く食わせてくれよ…。』

と俺に言って来る。俺は笑って

『もう食べていいぞ。』

と言い返す。常に当たり前のように男っぽい大地は俺と違ってガッツリと食う男だ。俺の分も俺が食べきれないと大地が食ってくれるくらいしっかりと飯を食う大地は

『飯は食える時にガッツリ食わないとテレビじゃ収録中とか食えない時があるからな。』

と言っていた。だけどデザートのアイスとフルーツは

『イルマもしっかり食えよ。』

と言って大地は必ず大地の分を俺にくれる。俺は女の子みたいな自分がコンプレックスだけど、どちらかと言えば甘党でデザートなんかは好物だ。

『かなり満足~。』

と大地がくれたデザートでご機嫌な俺を大地は

『仕事には充分な資料になったか?』

と聞いて来る。俺は

『うん、ありがとうね。かなりいい取材になったし大地と一緒だったから充分に楽しめたよ。』

と言っていた。食事の後で旅館は人が

『お布団の用意をしますね。』

と言ってから手際良く食事を片付けて布団の用意をしてくれる。大地が部屋の隅でまだビールを呑んでいたから俺は大地に

『ちょっと外で仕事の電話して来る。』

と言っていた。大地は

『電話なら、ここでも出来るだろ?』

と俺に変な顔をして来るけど、俺は大地に

『一応、仕事の内容は守秘義務があるんだよ。』

と誤魔化すように言っていた。実際、発売前の漫画の内容とか誰かにベラベラと話したりしてはいけないという守秘義務があるのは事実だ。

でも本当は俺は南郷さんに電話をするのに誰にも聞かれたくなかっただけだった。

1人で南郷さんのあの声を聞きたい…、俺だけの声が今すぐ聞きたいんだ。

『ふーん…。』

と少し不機嫌になる大地を部屋に残して俺は旅館の中庭に出ていた。
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