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愛されたいから…
第8章 イルマの実家
そんな親だったが、中学の時、授業中に落書きばかりしていた俺の為にお袋が先生から学校に呼び出され事があった。お袋は俺の将来が不安だと言った先生に

『それは漫画家はまともな職業ではないという意味ですか?』

と言って俺の為に真っ向から戦ってくれた。それからうちに帰ってから俺にはしっかりと

『描くなとは言わないわ。だけど漫画家は描ければいいって仕事じゃないの。正しい知識も必要な仕事だから、学校の勉強もちゃんと必要なのよ。』

と俺にちゃんと理解させるように叱っていた。その程度でしか親に叱られた事がない俺は、大地やリッちゃんに比べたら、かなりお坊っちゃんで世間知らずの甘ったれなのかもしれないと俺はいつも思っていた。

ご機嫌でパパカレーを食べる俺に氷水を出したお袋が俺の前に座ってから

『ベータの編集長さんから聞いたけど…、イッちゃん、ガンマで描き始めたって本当なの?』

と少し怖い顔で言って来た。

やばい…、南郷さんとの事がバレたのか!?

不意打ちのようなお袋の質問に俺は緊張してドキドキしながらお袋の顔を見ていた。お袋は少し眉を釣り上げてから

『未だに、恋人らしい恋人も出来ないイッちゃんがガンマで官能なんか描けるの?出版社に迷惑をかけるような仕事なら、母さん、本気で怒るわよ。』

とあくまでも怒る予告を俺にして来ていた。だから俺は慌ててお袋に

『ガンマは作画だけだよ。ちょっとエロく女の子を描くだけだから、なんとか俺でもやれるよ。』

と答えていた。お袋はまだ納得が行かないように

『美術的な裸しか描けないくせに、女の子を知らないイッちゃんがやっていける仕事だとは思えない。』

と俺を睨んでいた。

すみません…、女の子は知りませんが最近、少しだけ男の人を知りました。

そんな事を気楽に目の前で俺の心配をしている母親に言えるわけがなく俺は

『俺だって男だし、ネットでもそういう画像はいくらでもあるんだから、俺が感じるような作画をすればいいだけだよ。』

と少し露骨に言ってみる。

本当はネット動画なんかに俺は感じたりしない…、南郷さんにしか俺は感じない男だ。
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