この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第7章 蓮と陸の心境
◇◇◇
思わぬ泊まり掛けの仕事になり、更に戻って来ての続け様の収録コーディネートと、マンションに帰る暇すらない。
まさかトラブルがあったとは知らず、俺は仕事に邁進中といったところ。
(陸と千弥だから、心配はしていないけどね)
物撮り用になる野菜のトマトスープを作りながらも、頭の中は1日離れたマンションのことでいっぱいだ。
(俺のマンションで、こんな食品ロスレシピは作らないよ)
最近の流行『食品ロスグルメ』、仕事としてはアリだが、千弥と陸には食べさせたいとは思わない。出来るだけ美味しい料理で満足させたいという俺の心なのだろうか? 二人には俺が納得する料理を食べさせたいという、プロの意地なんだろう。
「最近の流行りも面倒くさい。熟成かと思えば食品ロス、相反していると思うんだが……」
「まぁ、それを言ってしまうと、流行りもなにもなくなるよ藤崎さん?」
今日一緒に行動しているのは、俺と同じフードコーディネーターの、藤崎豊(ふじさき ゆたか)。彼も独立組で、今はそんな独立者たちの集まりに、俺と一緒に入っている一人。
単独では横の繋がりが薄い、大手には敵わない、そんな問題を解消するために出来たのが、俺が所属する食の情報ネットワークだ。
俺も藤崎も、毎回世話になっている便利な場所とでも思って欲しい。
「尾上さんは今日出先からだったはず」
「昨日は九州泊まりで、今朝の飛行機で戻りこの仕事だよ。今日こそは帰りたいね」
「彼女が待っているんだった。尾上さんも隅に置けない」