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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第8章 3人で-男同士の共闘

逃げちゃっ……た。
私にはまだ無理だよ。陸さんのようにはなれない、それは私自身が一番知っていること。今の状態から抜け出さない限り、私は次には進めない。……それが分かっているから。



部屋の改装のほうは、本当に私が気付かない程度に進行中。時々廊下に段ボールなんてあるけれど、私的には気にならない範囲内。そして中がどうなったのかは、出来上がるまで私には秘密なんだって。

(それは良いけれど……)

今日も朝から薬をかじり、ミネラルウォーターで流し込む。私の日課、心の拠り所、怯える私と淫乱な私が表に出ないように、毎日薬で蓋をする。そうしなければ、私は外にすら出られないから。

「おはよう千弥、今日も僕と一緒に行く?」
「おはよう陸さん、出来ればお願いしたいかな?」

扉越しの会話。あの時以来、陸さんは約束通りに私の部屋に入って来ることは無い。あの時は仕方がなかった、それは私だって分かってるよ、とてもじゃないけれど返事すら出来ない状態だったから。

「蓮が車で送るとも言っているけどね」
「それは時間帯が違う蓮さんの迷惑になるから」

身だしなみを整え、私は部屋の扉を開け改めて陸さんに朝の挨拶。これが普通なのよ。

「迷惑ではないよ。俺としては二人まとめて送りたいけど?」
「おはよう蓮さん。流石にね、蓮さんまで出てしまうと収集が付かなくなりそうなの」
「収集??」
「あー社内の噂だよ。こう毎日一緒に出勤しているから、僕と千弥が付き合ってるなんて言われてる」

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