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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第10章 光の当たる場所-千弥
「乱れるのはベッドの上……」
「……だよね」
「分かってますっ!」
陸さんと蓮さんに言われ、なんとか自分を抑えた私。でもこのままじゃ話にならないので、シャワーには飛び込んだ。……頭と身体を冷やすという意味もあったけど。
脱衣所を見ても、今はミネラルウォーターは置いていない。クローゼットの奥も触っていない。唯一残ったのは薬用ピルだけど、これは三人で話し合って継続するほうを選んだの。
そもそも半年以上は精神薬を絶っていた私なんだから、今の居心地のいいこの空間で薬なんかは必要ない。私もこれで合っていると思う。
「あ、やだ着替え」
ミニスカートなんて選んだせいであんなことになったんだから、着替えは別のほうがいい。……ふと思い出す、購入して手を付けていない服があったことに。
「そう、あの時はパニクって、奥にしまい込んで忘れてた」
本格的な夏になる前、デパートに行って購入したワンピース。あんなことがあったせいで、ずっと触れずにクローゼットの奥底になっていた物。
「着ちゃおうかな?」
取り出したワンピースは、まだタグさえ外していない新品同様のまま。少し考えたけど、私はワンピースに手を伸ばす。だってワンピースは悪くないじゃない? 悪いのは、あの時動揺した私なんだから。
「……いい感じ?」
シンプルワンピースなので、ちょっとアレンジ。
腰には薄系の色合いのベルト、肩出し系なので隠すためのストールを羽織れば、外でも着れそうなくらい綺麗に仕上がった。