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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
も、もしかして、私は武田さんに試された?
笑って納得顔の武田さん、私の答えで合っていたってことだよね。
私はどちらかを選ぶ気なんてない、蓮さんと陸さん二人共私には必要なの。贅沢だって分かってる、あんな良い男性が二人して私に構うなんて本当に贅沢だよ。
武田さんの話の後、自分のデスクに戻った私。やられたなぁなんて思いつつも、貰った本を広げて見る。
(……うわー、条件に合いそうな絵画ばかり)
やっぱり武田さんは、こういう感性がしっかりとしていて、イメージ資料を見せただけなのに、きっちりと合わせてくれているの。逆に選ぶのが大変そうなくらい、良い絵画ばかり。
暫く仕事の手を止めて、本に夢中になる。だって夢の世界だよね絵画って。
「……三苑さん?」
「え……? りく……小野寺さん?」
危ない、つい家での感覚で『陸さん』と呼びそうになってしまった。それだけ本に集中していたのよ。
「それ武田から?」
「そう、資料と説明をしたら、この本を渡されたの。どれもイメージ通りで、選ぶのに苦労しそう」
「ふーん、どれどれ……やっぱ武田の感性って凄い、どれを選んでも今回のイメージに合いそうな物ばかりだよ」
「うん、凄いね武田さんって」
私ばかりではなく陸さんまで本に夢中になり、あれだこれだと言い合う始末。
だけど、こういう時間って楽しい、好きなことを自由にやれるコーディネーターという仕事、私がやりたいと思った唯一の職業。
……だけど夢に向かって1歩前進したのに、障害がやって来るなんて思いもしなかった。