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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
◇
あの仕事は上手くいき、私と陸さんのコンビも順調に乗り出した頃、それは突然やって来た。
きっかけは次の仕事話、コーディネーターは一件完全に終わらせてから、次の仕事を請け負う……少なくとも、私が今在籍しているのこ会社はね。
それで次になる仕事とクライアントの説明になり、私は改装する店の名前とクライアント名を見て、完全に固まってしまったの。
(店の名は仮だけどocean、クライアントは九龍湊(くりゅう そう))
私はこれに見覚えが……ある。あの夏になる前にデパートで見た雑誌、そこに載っていたディナーショーの広告。あれに書いていたの、『oceanオーナー九龍湊』と。そう、九龍湊は九鬼、九鬼湊也のホスト名。
この仕事だけは絶対に嫌、また九鬼に会ってしまったら、私はまた縛られる。幾ら接近禁止処分といえども、仕事としてなら会わなければいけない、そんなのは嫌っ!
「……課長、この件ですが他の人に回すことは出来ませんか?」
「三苑君?」
「三苑さん?」
私の意外な発言に、課長だけではなく隣に居る陸さんまで驚いているけれど、私は絶対に引く気なんて無い。引いてしまえば私が終わると理解しているから。
「しかしね三苑君、これは社長のテコ入れで、なおかつ先方は三苑君を指名しているんだ。この話は断れないんだよ」
そこまでするの!?
その前に、どうして今の私が仕事をしている場所が分かったの? うんん違う、少し前に陸さんと一緒に雑誌の取材を受けた。あれも会社からの指示で、会社名がしっかりと載ったはず。