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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
◇◇◇
「眠って……しまったね」
眠る時だけは自由だなんて……。少しずつ改善の傾向を見せていた千弥なのに、千弥を監禁凌辱した男がまた現れ千弥を狙うとは、俺でも思っていなかった。
「陸が帰宅してから、詳しい事情を聞かないと」
その九鬼という男が、千弥の会社にクライアントとして依頼、そして千弥を指名したのまでは理解したが、会社を辞めるほどの『なにか』があったと見たほうがいい。
「しつこい男だね九鬼というは」
繋がれた千弥の手を離さないまま、俺は今腹立たしさを覚えている。千弥をここまでボロボロにしたのでは飽き足らず、また追い打ちをしようとする最低な男。
どうすれば、千弥を本当に自由にしてやれるのだろう?
「……音? 陸が帰って来たかな」
玄関先で物音がするのだから、陸が帰宅したと思う。案の定、着替えることもせずにこの部屋へと陸が入って来た。
「蓮、千弥は……寝てる」
「俺も少し前に帰って来たところで、千弥が精神薬を使うのを止められなかった」
「精神薬……僕があの時見た薬」
「多分……。急にフラ付き出し、今はこうして眠ってしまっている。……眠るのが自由だと言って」
「……千弥……」
俺とは反対側に座る陸、そんな陸も憔悴しているように見えるが?
「仕事場でなにがあった陸?」
「新店舗の仕事が舞い込んで来て、それが社長のテコ入れだったらしく、僕と千弥を指名して来たんだよ」
「指名と、千弥は言っていたね」