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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
千弥の心と身体の安定と安全、それが今の俺たちに出来ることの全て。こんなに心も薬で身体をも痛める千弥を、どうすれば本当に救えるのか、考えるべきは先ずそこだと思う。
「千弥は次の仕事を探す心配をしていた。本音を言えば食費すら要らなかったのに、シェアということで妥協した俺が悪いね」
「普通は割るものだよ蓮」
「食料のほとんどは、仕事からの持ち帰りなんだよ陸、俺が購入している分は少ない。初めから言えばよかった」
「そうなの? あ、前に千弥が心配していたあれ?」
「フードコーディネーターは、同じ料理を何度も作るから、必ず未使用の食料が出るからね。それを勿体ないと頂いているだけなのだけど、中には高級食材もあるよ。……そうか!」
「??」
この手があった。一度は千弥に断られたが、今なら頷いてくれる可能性が大いにある。そして四六時中千弥を守ってあげられる最善の方法。
「仕事だよ陸。前に俺は言ったよね、一緒に仕事をしないかと。あの時は変に疑われたけど、今だったらどうだい?」
「あぁ、なるほど」
「個人仕事に近いから、週末の予定は立たないけど、この方法だったら常に千弥の側に居て守ることが出来ると思わないかい?」
俺にしては真面目で良い案だと思うが、陸はどう考えるか。今まで一緒に仕事をしていたのは陸のほうで、俺は横入りに近い。
「良いと思う。僕と違って蓮は会社という枠組みに縛られていないから、もし九鬼が手を出そうとしても、突っぱねることが可能。僕じゃムリだから」
「……陸……」