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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
◇◇◇
「……千弥……」
眠りながらもうなされ、涙を流す千弥。夢の中にまで彼奴が現れているの?
僕と蓮は、千弥の手を握っていることしか出来ないのが歯がゆい。もし夢の中に行けるのなら、そこに居る九鬼をぶん殴って追い出してやるのに……。こんな時、僕たちは無力だ。
「こんなに汗を掻いて……。なにか着替えが必要だね」
「この部屋にも、千弥の着替えがあったはずだよ。僕探して来る」
離したくはないけれど、千弥の手を離し、僕はバスルームに着替えを探しに行く。
「確か……この変に……」
簡易の収納ボックスを探したら千弥のパジャマを見つけ、それを持って部屋へと戻ったんだけど、蓮が辛そうに千弥を見る姿を見て僕は声をかけられなくなる。
(……蓮……)
こんなことになり辛いのは僕も同じだけど、仕事のことでは直接タッチ出来ない蓮のほうがもっと辛い。
それは僕だって腹は立ったよ、聞いて回れば回るほど今回の理不尽なやり方、ああいうのを職権乱用って言うんだよ。社長の奥様? なにそれ関係ないだろ?
それを鵜呑みにして動いた社長も社長だし、建型社会で断れない上司も上司。ぶっちゃけて言えば犯罪者の肩を持つ……言い方が悪ければそうなるんだよ。
ホストなんて源氏名なんだ、身元確認くらいするべきだと僕も思ったさ。それすらもしないで仕事を請け負うほうが間違ってるって、どう考えても同じ答えしか出て来なかった。