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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
どうすることも出来なかった僕の想い。千弥は会社から居なくなり、こうして夢の中までうなされているのに、手助け1つすら儘ならないなんて……。
(止めればよかった? いや、止めても千弥は耳を貸すことなんてしなかったと思う)
入社以来、千弥があんなに明確な意思を出したのは初めてなんだ、だから僕も千弥の言動に驚いた。……最初で最後になったけど。
千弥を追い掛けて1年以上、告白し一緒に住み始めて数ヵ月、こんなにも千弥の闇が深いなんて僕は考えもしていなかったし、知っても仕事上はそこまで手助け出来ていなかったよ。
なにもという想い、自分自身に問いかける想い。もっとなにか出来たんじゃないか? 周りなんか気にせず、家に居るように千弥と接していれば良かったんだよ僕は……。
「……陸?」
「……あ。千弥のパジャマを見つけたよ」
「二人で着替えさせるかい?」
「そうだね」
僕も陸も千弥も、仕事の時の服装のまま。特に千弥は着替えることなく眠ってしまっていて、着替えさせるのに一苦労。女性のスーツって、こんなにキツキツなんだって初めて知った、これが毎日だと大変だって。
「これで良いね、後はいつ薬が抜けるか……」
「前の時は6時間か7時間くらいだった。だから暫く目を覚まさないと思う」
「じゃあ、俺たちも着替えて一度軽い食事を入れよう。揃ってこうだと全員が倒れてしまうからね」
「……うん」
離れたくない想いはあれど、蓮の言い分のほうが現実的だって分かってはいるさ。仕方なく自分の部屋に足を向ける僕、着替えて飯を食べたら、朝まで千弥に付いているつもりだよ。