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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
『そうよ。そして千弥が私を受け入れようとした、それを捨てるの? また私に任せて自分は闇に籠るの?』
「……それは……」
『それは違うと思ったからこそ、千弥は変わる努力をしたじゃない! 九鬼? そんなの今更関係ないでしょう』
「でも、しつこく追い掛けて来るの」
『今は守ってくれる人が居るのを忘れないで。あの二人だったら、私は千弥を任せることが出来る』
蓮さん、陸さん……。
私はこれ以上頼って良いの? 二人の迷惑にならない?
『頼って欲しそうにしてるわよ。今も側で千弥を心配しているんだから』
「……私……。
そうね、今の私には蓮さんと陸さんが居る。九鬼になんて……負けない」
『それで良いのよ。もう私を頼らなくても千弥は大丈夫。そもそも私は千弥の一部、誇張し飛び出しただけに過ぎないって、もう理解しているよね?』
「……うん。今までありがとう、私を守ってくれて」
もう一人の私を抱き締めると、笑顔のまま私の中に消えていく。そう、この私も私、切り離してしまった私なんだから、私の中に帰るのは当たり前。
そして言われた通り、九鬼なんてもう関係ない。退職したんだから、九鬼は私を追うことなんて出来ないもの。ただ私の弱い心が過剰反応しただけ。
「強くなりたい。蓮さんと陸さんのために、また1から進もう」
答えが出て漸くスッキリした気分。結局は私の弱い心が、みんなに心配をかけてしまったと、今はハッキリと分かってる。
心を乱さず落ち着いて。そうすれば私は変われるはずだから。