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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第14章 3人でなければ駄目

◇◇◇
こう年末近くなると、フードコーディネーターの仕事は忙しい。来年分の撮影に、正月番組用の料理構成など、細かいのを含めたら忙殺と言っていいほど仕事が舞い込む。
それでも帰宅するのは千弥と陸のため。前の俺だったら事務所で寝るか、手短なビジネスホテルに泊まっていたと思う。
(疲れても、こうして二人を見ると癒されるからね)
今日は手早く作った夕食を、陸は待ってましたと食べ、千弥は美味しいと丁寧に食べてくれる。それがどれだけ心温まることか……。
料理は仕事であり、誰かに食べさせるためじゃないと思っていた頃の俺から考えれば嘘のような話。今は仕事より、こうして二人のために作るほうが楽しい。
(本当にX'masレシピを変えないといけないね)
俺が思う物を作るより、二人が喜んでくれる物のほうが俺も嬉しいんだから、X'masまでにレシピと材料調達……そう考えるだけで、高揚感で満たされるのだから不思議なもの。
「……ごちそうさまー、はー落ち着いた」
「じゃあ、早食いの陸には、メインバスルームのほうを頼もうかな?」
「あー……早食いは損っていうやつだ」
「嫌だったら私がやるよ陸さん?」
「嫌じゃないよ。千弥はまだ食べていていいから。終わった僕は大人しく風呂係しまーす」
「くすくす……」
使わないとは思うけど、念のためにメインのほうにお湯を張っておこうと思った。これから夜のことを考えれば、もしかしたら使うかもしれない。……そんな意味も込められてはいるけれど。

