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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第4章 千弥と蓮
「今までは目覚まし5つくらいセットしてた」
蓮さんが焼いてくれたトーストを口に咥え、陸さんは急ぎ朝食。食べるスピードが早いので、結果的に食べ終わるのは私と蓮さんにそう変わらないのは……見ないふりだよ。
「ご馳走さまー! 僕先に行くから!」
「仕事急ぎ?」
「蓮さんの案件以外にも抱えてるので、社内では多忙ですね」
「千弥は? 忙しくないの?」
「私はまだサポートくらいしかさせて貰えないので……。ほとんどがマーケティング集計の打ち込みばかり」
鞄を掴んで走る陸さんを横目に、私は朝食の後片づけのお手伝い。同じ同期入社でこの差は痛い、基本コーディネーターは男女関係なしだもの。
「千弥だったら、もっと活躍出来ると思う。それをしないのは会社のほうが悪いね」
「さぁ……。企画があまり得意ではないのも影響しているのかな?」
「だとしたら、俺と一緒にやらないかい? 千弥と俺なら良いパートナーになれると思うよ」
「急に言われても……。今の会社は私が好きで入社したし、空間コーディネーターは私の夢なの」
後片づけと言っても、食器を洗浄機に入れるだけなので、私はスタートボタンを押した後、手が止まってしまう。
蓮さんの話は魅力的だとは思うよ、フードコーディネーターに空間コーディネーターが初めからコンビを組んでいれば、今回みたいな外部発注をしなくても済む。
でもね、私にはまだその自信なんてない。だってまだ一つも『自分がやった仕事』という実績がないせい。