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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第4章 千弥と蓮


ミスったせいで、今日の仕事はあれだけになってしまった。本当は定時前に終わらせて、新しく来ていた商品カタログを見たかったけど、そんな余裕すら無く……。
専門に企画やコーディネートをやっている人が優先になるので、私がカタログを見れる機会はそう多くないの。今日逃してしまったから、次はいつになるのかな?

「……ただいま」

まだ誰も帰って来てないであろう、マンションの扉を開け中に入って見れば、間接照明が灯り、リビングのほうから良い匂いがする。

「おかえり千弥、陸は一緒じゃないのかい?」
「ただいま蓮さん。陸さんは直帰だけど、クライアントとの打ち合わせ込みだから遅いと思う」
「この時間で打ち合わせとなると、酒込みかな?」
「……多分……」

午後から外回りで、そのまま直帰コース。そうなると、打ち合わせの他に接待が付くのは当たり前なのよね。この業界も、まだまだ古い慣習は抜けないという表れ。

「折角仕事が早く終わったから、少し手の込んだメニューにしてみたのに、陸の分は……明日の朝食用に変えてしまおうかな?」
「そんなことも出来るんですか?」
「何事も応用次第。シチューとロールキャベツは、アッサリに変えられる。でもメインの魚は無理だね、俺が陸の分も食べるから心配ないよ。千弥は着替えないのかい?」
「あ……。軽くシャワーを使って着替えて来ます」

こんな時は、キッチンを仕切る蓮さんのほうが強くない? 私は素直に部屋のバスルームで、シャワー&着替え。ほら、1日中化粧をしているから、落とさないとお肌がカサカサになってしまうよ。

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