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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第4章 千弥と蓮

「……なにかあったかい千弥?」
「…………え?」
「食べる手が止まっている、それはなにかを考えたということ」
流石に蓮さんって目ざとい。食事中の少しの変化にも気づいてしまうなんて、本当にプロだわ。
「仕事でミスをしてしまって……。誰に迷惑を掛けるミスでは無いんですけど、あんな入力ミスをしたことのほうが、精神的に大きいのかな私」
「機械じゃないんだから、ミスくらいはあると思うよ。問題はそのミスを真摯に対応するかどうかの差、そこで投げ出してしまえばそれで終わりだね。千弥は違うと俺は思っている」
「投げ出すなんてしてません! それは定時ギリギリまでリカバリーしましたけど、ちゃんと上げています」
「では拘らない。問題なく処理した、そう思ったほうがいい。千弥は気負いすぎてはいないかな?」
「私……が?
マーケティングばかりの私では、気負うもなにもありません」
そう、私に回せばと陸さんに言われたけれど、そればかりをやっている私は、気負うものすら持っていない。出された物を処理する毎日で、なにを気負えばいいの?
「じゃあ、なぜマーケティングばかりをやるんだい? 千弥だったら他にも仕事はある筈だよね? それなのに好んでマーケティングばかりやる理由はなに?」
「理由もなにも、マーケティングが私の仕事だから……」
「誰かに任せることなく、千弥がマーケティングを担う、俺はそう考えるね。
本当は新人でも良いはずなのに、千弥がマーケティングに拘るのは、ずっとやって来たせい。自分が一番出来ると思うから」
「……あ……」

